当院で医療ダイエット治療を施術している患者さま方に多く診られる「肥満」に伴う全身の「筋力低下」と将来懸念される「フレイル予備軍」についてお話ししたいと思います
長年、脳卒中リハ医療に携わっていると、肥満に伴う筋力低下による「フレイル」を合併している患者さまに多く遭遇しました
全員に共通しているのは、肥満に伴う関節の障害と著しい筋力の低下でした。加齢に伴って筋肉量や筋力が低下し、身体機能が衰えています。そして、筋力低下は転倒のリスクを高めて生活の質を低下させるため、適切な理解と対策が必要です
以下に、加齢による筋力低下のメカニズムについて述べてていきますね
1. 筋肉量の減少(サルコペニア)
サルコペニアは、加齢に伴い筋肉量が減少する状態を指します。一般的に30代から筋肉量は徐々に減少し始め、60代以降にその速度が加速します。以下が筋肉量減少の主な要因です
– 筋線維の減少: 特に速筋(瞬発力を司る筋肉繊維)が優先的に失われます。速筋は筋力の維持に重要で、これが減少することで、筋力低下が加速します
– 筋肉の合成能力の低下: 加齢とともに筋肉の合成能力が低下し、筋肉の新陳代謝が鈍くなります。これにより、筋肉が減少しやすくなります
2. 運動量の減少
加齢に伴い、**身体活動の低下**が筋力低下に大きな影響を与えます。仕事を退職したり、身体的な負荷が少ない生活になることで、運動量が減少し、筋肉を維持するための刺激が不足します
– 不活発な生活習慣: 定期的な運動や筋トレを行わないと、筋肉が徐々に衰えていきます。筋肉は、使用されなければすぐに減少するため、運動不足は筋力低下の大きな原因です
3. ホルモンの変化
加齢に伴い、**ホルモンバランス**が変化することも筋力低下の原因の一つです
– テストステロンの減少(男性): テストステロンは筋肉の合成を促進するホルモンであり、男性に多く分泌されています。しかし、加齢によりその分泌量が減少し、筋肉量の維持が難しくなります
– エストロゲンの減少(女性): 女性の場合、閉経後にエストロゲンが急激に減少し、筋肉や骨の健康が損なわれやすくなります
– 成長ホルモンの減少: 成長ホルモンは若い頃に多く分泌され、筋肉や骨の修復を助けますが、加齢により分泌が低下します
4. タンパク質合成の低下
加齢により**タンパク質の合成能力**が低下し、食事から摂取したタンパク質が効率よく筋肉に使われにくくなります。この状態は「**タンパク質代謝の抵抗性**」と呼ばれ、筋肉の維持が難しくなる原因となります
– 不十分なタンパク質摂取: 特に高齢者では、食欲の低下や消化機能の低下により、十分なタンパク質が摂取できず、筋肉の合成が阻害されます
5. 慢性疾患と薬物の影響
加齢に伴い、「慢性疾患」やそれに伴う治療(薬物)が筋力低下に寄与することもあります(医原性筋力低下)
– 「糖尿病、心血管疾患、関節炎」などの慢性疾患は、体力の低下や活動制限を引き起こし、筋力の衰えに繋がります
– 「薬物治療(ステロイドや利尿剤など)」も筋肉の減少を促進する可能性があります
6. 神経機能の低下
筋肉は神経の指令によって収縮しますが、「加齢に伴う神経機能の低下」が筋力低下に関与します。
– 運動ニューロンの減少: 加齢に伴い、運動ニューロンが減少するため、筋肉への神経伝達が弱くなり、筋力が衰えます
– 神経-筋接合部の劣化: 神経が筋肉に信号を送る箇所(神経-筋接合部)が劣化し、筋肉の収縮が鈍くなることも筋力低下に寄与します
7. 炎症の増加
加齢に伴う「慢性の炎症反応(「インフラメイジング」)」も、筋力低下の原因の一つです。体内で慢性的に炎症が続くと、筋肉の合成が阻害され、筋肉が分解されやすくなります
– 炎症性サイトカインの増加: IL-6やTNF-αといった炎症性サイトカインが筋肉の分解を促進し、筋肉量を減少させます
8. 栄養不足
高齢者では、食欲の低下や消化機能の衰えから、栄養が不足することが多くあります。特に以下の栄養素が不足すると、筋肉量の減少が進行します
– タンパク質: 筋肉の主要な構成成分であるタンパク質が不足すると、筋力を維持することが困難になります。
– ビタミンD: 骨と筋肉の健康を維持するために重要なビタミンDが不足すると、筋力低下や骨折のリスクが高まります
いかがでしょうか?
20-30代に比べ、40歳以降では上記のように加齢に伴う様々な生理的変化によって筋力は低下して肥満しやすくなります
当院では中高年のダイエット希望の患者さまに対して、スカルプシュアによるレーザー脂肪溶解療法と併用して電磁パルス波筋力増強装置(スティムシュア)を用いて全身の筋力増強&脂肪燃焼によって全身の脂肪を除去しながら筋力増強します
中高年のダイエットでは、体脂肪コントロール+脂肪燃焼+筋力増強&筋肉引き締めをセットで行う必要があります